巨大石風呂プロジェクト【その5】浴槽内部は「ほどよい密着感」が客を呼ぶ?
石風呂の魅力は、その圧倒的な存在感と自然の美しさにありますが、もう一つの大きな魅力は「ほどよい密着感」です。
これは、入浴者が感じる心地よさと快適さを決定する重要な要素です。
今回は、石風呂の製作において、この「ほどよい密着感」を実現するためのプロセスについて詳しく紹介します。
浴槽内部のくり抜き作業
石風呂の外形を大まかに整えた後、次に行うのは浴槽内部のくり抜き作業です。
この作業は、石材の内側を慎重に削り取り、快適な入浴スペースを作り出す工程です。
くり抜きにはコアドリルを使用し、何度も穴を開けて少しずつ削り取っていきます。
この作業は時間がかかり、職人の技術と忍耐が試される部分です。

浴槽内部の大きさの重要性
浴槽内部の大きさは非常に重要です。基本的には、二人が入れるサイズを想定して設計します。
陶器製の浴槽などは美しいですが、材質的に、やはりちょっと小さいように思えます。
小さすぎる浴槽は快適さを損ないますし、大きすぎる浴槽も逆にリラックス感が減少します。
適度なサイズ感を実現することが、石風呂の魅力を最大限に引き出す鍵となります。
ほどよい密着感の演出
「ほどよい密着感」を演出することは、我々の経験と技術が最も生かされる部分です。
とある旅館のオーナーから聞いた話では、最初は奥様と一緒に訪れるお客様が、気に入っていただけると、次回は違う方と来られる。
だから「ほどよい密着感」が大事だと。
深いですね。
くり抜き後の仕上げ作業
内部のくり抜きが終わると、お風呂らしくなり、かなりリアルにイメージが湧いてきます。
次は仕上げ作業に移ります。
内部の表面を滑らかに仕上げ、快適な入浴環境を整えます。
また、外部の細かい修正も同時に行い、石風呂全体の完成度を高めます。
この段階で、石風呂の最終的な形が見えてきます。


加工の精度を高めるためのコミュニケーション
石風呂の製作には、中国工場の職人と何度も写真でやり取りしながら進めます。
加工指示書は一見シンプルですが、その内容は緻密で適当なものではありません。
最終的な線を決定するまでに、さまざまな角度からの画像を20枚以上印刷し、細部まで検討します。
これは、お風呂自体の形だけでなく、設置場所や部屋からの見え方も考慮するためです。
書いては消し、書いては消しの繰り返しです。
ここが一番の悩みどころ産みの苦しみ、石を活かすも殺すも、この線一本と思うと一番緊張する場面です。



次回「巨大石風呂プロジェクト【その6】いよいよ大詰め!外形の調整」に続く
